雨のBlue

rain×3、雑多なひとり言。

やがて″君″になる

2019.5.7(火) 19:00開演の舞台『やがて君になる』を観劇して参りました。

 

まず始めに僕は舞台を自分の意思で行くのは初めてでした。

昔学校関連で歌舞伎やオペラ、舞台を観たような気がしますが大抵心地よく寝ていましたね。

そんな舞台初心者が話す事を多めに見て頂けると幸いです。

 

 

 

 

 

さて、『やがて君になる』という作品について知ってる人もいるかと思う。

だが、知らない方もいるとは思うので、作品概要から進めていく。

 

原作は仲谷鳰さんの漫画であり、2018年秋にアニメ化もされている、所謂『百合作品』である。

本来狙ってそう描いた訳じゃないとは何処かで聞いたが今回はジャンルとして、ここでは″百合″を女の子同士の恋愛を描いたものだと捉えて欲しい。

百合の何某について語り出したら炎上案件的な所があるが僕の認識では他人から見たその人達を″百合″、本人達から見た思考はまた別の言い方だと捉えている。

そんな捉え方の話なんぞはサラッと流して、僕はこの作品が好きだ。

元々作者さんの作品が好きで、連載を始めるとの事でチェックしたのだけれど、個人の考え方や世界観、漫画の表現などが楽しくて読んでいたので、そんな世界がアニメや舞台まで広がって、一ファンとしてとても嬉しいと感じている。

 

では、物語を見ていこうと思う。

一応サラッとでもいいので行く前に公式サイトなどであらすじ、登場人物を確認してから行った方が楽しいだろう。

また、今更遅い気がするが物語、アニメ、舞台のネタバレ全開で行くと思うので、知りたくないやい!という人はそっと画面を消すか、最後まで飛ばすなんてのもありかも知れない。

 

はい、スタート

 

この物語は小糸侑と七海燈子が出会い、お互いに干渉する事で動き始める。

きっかけとして告白をされ返事に困る、好きがわからない侑が告白を受けてきっぱり断る燈子を見てしまう。

誰にも相談出来なかった侑はこの事から燈子に相談し、自身の事を肯定してもらう事で断る事が出来る。

それと同時にその姿を見て、燈子は侑を『君のこと好きになっちゃったかも』、好きになる対象であると認識する。

現在原作は7巻まで刊行されている、先を知っているので言うがこの時点で侑の中で燈子はカッコイイ先輩の域を出ていないだろうし、興味を持った程度だろう。

また、燈子からしたら自分自身が嫌いな私を好きにならない。

ただの成り代わりでしか無い、器しか無い空っぽな私を好きになって欲しくないとは言わなくとも、そう思っているなんて誰もわからない。

侑も段々と燈子の不気味、歪さがわかってくるし、ただの一方的な好意、恋愛だけてはなく、侑側からの行動が増えて、最終的にどこへ向かうのかという流れだろう。

ただ、こんなの舞台見てる上ではこちら側としたら理解する必要ないので出会いのシーンから燈子の告白までのシーンは一つのこの作品を理解する上のきっかけになる。

実際に舞台でもあった流れだ。

そこからどうして燈子はこんな歪を抱えたのか、佐伯沙弥香という燈子を隣で支える人物や生徒会の男性陣、友達などの心情や立ち位置などがわかる。

また、思春期らしい接触、女の子同士でのキスシーンなども沢山あるのでそういうのウェルカムな人なら大いに見て欲しい。

 

舞台の側面を多めに話そう。

舞台は約2時間程度、物語のスタートから侑から燈子へ告白するシーンまでである。

ステージは上部とステージ外左右に窓枠、縦に格子、連子の様にされたリボンのゾーンが上手下手に1つずつ、センターを開けてその両サイドにも1つずつあった。

上手側では生徒会シーンや都の店のカウンターシーンなどを行い、下手側では侑の部屋や都の店のテーブルシーンなどが主に表現された。

今回僕の座っていた先は下手(観客席から見て左側の事を言うらしい)側の丁度演者達と同じ目線くらいになる高さで劇を観ていた。

なので、センター手前でされた初キスシーンは横から見れて美味しいし、侑の部屋でのやり取りも近くで見る事が出来て、ニマニマものである。

僕自身は舞台の神席ってものがわからない、近ければ何処でも当たり席なんだろうなくらいにしか認識していないがそんな事もなく、自分が好きなシーンが観やすければどの席も神席である。

次にキャスト一人一人に目を向けてみようと思う。

やがて君になるは大雑把に言えば侑、燈子、あと沙弥香がいれば物語の軸が出来る。

河内美里さんが演じた侑は活発でしっかりとした芯のある子だった。

勿論本編でもそうなのだけれど、舞台上ではまたニュアンスの違う、だけれど役に合った演技だった。

多分、甘さは少なめでドライな部分が多めに出ていたんだろう。

なので、燈子を引き上げるヒーローさがあった。

次に小泉萌香さんが演じられた燈子は正に漫画から出てきた様な完璧さのある先輩だった。

これに関して、レビュースタァライトから好きになったキャストさんなので多分な贔屓目もあるが、見た目や彼女の二面性を良く表現してくれていた。

それに舞台を見ようと思ったきっかけも彼女なのでしょうがないね。

あと演技を見ていて、アニメ寄りでもあるのかと印象も受けている。

アニメでは寿美菜子さんが演じられているがある意味で模範的な先輩例であり、僕は舞台中に小泉萌香という人物を見失い、七海燈子という人であると認識に陥る程だった。

パンフレットを読む限り、かなり演技に悩まれていたので今回の期間で納得のできる落とし所を見つけられて、ああいう表現になったのかもしれない。

実際に舞台ではアニメの演出、オープニングやエンディングなども使われており、没入感が強かった。

付け加えるとちゃんと萌香ちゃんらしい演技である事、彼女がしっかり考えて演じており、彼女の七海燈子が観れてよかったと僕は思っている。

そして、最後に佐伯沙弥香。

礒部花凜さんについて語って終わろうと思う。

僕はこの方について何も知らずに来たが良い意味で知らなくて良かったと思う。

先入観無しで見る事で彼女の演技を受け入れられたと思う。

僕は本編中の沙弥香が結構好きだ。

だから、下手に的外れな人は見たく無いなとは考えていたがそんなの最初の登場シーンでなくなった。

静けさの中に鈴を鳴らす様な声、その息遣い、立ち振る舞いは沙弥香で他ならなかった。

台詞量は舞台中では多く無いが重要な役であるには変わりないので、舞台化すると聞いた時に難しいと真っ先に思ったのは沙弥香だったりするのだが、とても良かった。

彼女の演じる沙弥香は儚げに見えて芯が強く、それでいて引くところと攻めるところをしっかりと把握しており、沙弥香の強かさが表現されていた。

他にも語りたい方は多いがまとめるとこれだけでも十分に満足出来るものが得られて、舞台に行って良かったと心から思っている。

 

一つ気になる点として本編を表現するのに必要なシーンが多過ぎた為に全体を見ると長く、キャスト達も比較的早口に感じた。

2時間程度に収める為にそうなったのもわかるし、ストーリーとしたらとてつもなくベストであり、満点と言えるのだが、ワンシーン毎に余韻が欲しかった。

ダッシュしてピタッと止まる演技でみんなしっかり稽古してくれていたんだろうと感じるのであれはあれで完成されている。

単に欲を言えばこのシーンに余韻があればどうなっていただろうと考えてしまうなという話だ。

また休憩無しで2時間は長いのかわからないがこういう場に慣れてない僕は一息つきたかったとちょっとぼやく。

 

 

終わりに

 

 

さて、最後の一言しては

『とても良い作品だったので是非観に行って、BDなどを手に入れよう!!』

でした。

漫画的、アニメ的なんでもありの舞台『やがて君なる』を楽しめるのは今だけであり、決して後悔などしない。

 

そんな事を考えながら僕は帰路に着いた。

いやぁ〜楽しかった。